「墓標(ぼひょう)」という言葉は耳にしたことがあっても、どんなものなのか、何のために建てられているのかは意外と知られていないですよね。
お墓参りをした際に、区画の中に立派な木の棒が建てられているところを見かけたことがありませんか?
墓石業界ではあの木の棒を墓標と呼び、仮のお墓として建てられているのです。
今回は意外と知られていない墓標とは何なのか、どのような目的で使われるものなのかについてくわしくご紹介します。
墓標とは?
そもそも辞書では墓標について2つの意味合いが記されています。
一つは墓石の裏などに、「亡くなられた方の俗名や没年などを記したもの」であり、こちらは墓誌をイメージされる方が多いです。
もう一つが「お骨を埋葬している箇所に建てる目印の木や石のこと」という意味です。
実は墓石業界で使われている墓標は、墓石の建立が済んでいない墓地に代わりとして建てる木製の棒のことを言うのです。
墓地の使用権はすでに取得しているものの、何らかの事情でお墓の建立が先になる場合に木製の太い板に戒名などを書いたものを設置しています。
仮のお墓である墓標は、その形から別名「木標(ぼくひょう)」と呼ぶこともあります。
ちなみに遺骨は骨壺のまま直接土の中に埋める方法もありますが、中にはカロート部分だけを先に用意してそこに納骨を済ませる方もいらっしゃいます。
墓標はいつまで設置しておくものなの?
墓標はあくまでも仮のお墓ですので、きちんとお墓を建立することになったら撤去を行います。
たとえば人気の墓所に応募をして当選したけれど、まだお墓を建てる費用がないという方は墓標をお墓として建てることが可能です。
ご遺骨は自宅に保管することもできますが、仮のお墓でもまずは故人を土に還してあげたいと考える方もいらっしゃるようです。
ただし、木でできているため石よりも当然耐久性は低いため、ずっとそのままにしておかずに、できるだけ早くきちんとした石のお墓を建て直しましょう。
墓標の費用はどれくらいかかるの?
墓標にかかる費用は10万円前後が一般的です。
ただし、墓標だけでなく外柵を作ったり、カロートだけを用意したりする場合はその分の工事費がプラスされます。
仮とは言え風などで簡単に倒れないよう、太い木の棒をしっかりと打ち込んで固定しています。
お墓が建つまでの間にもお墓参りをする機会があるかと思います。
ですので、できれば墓標と一緒にお花やお線香を立てられるように、仮の花立と線香立ても用意しておくことをおすすめいたします。
<まとめ>
墓標は墓誌をイメージする方もいらっしゃいますが、墓石業界では仮のお墓として建てる木の棒のことを指していることが多いです。
金銭的な事情でお墓を建てるのを先送りにしている方や、お墓を建てる前に納骨を済ませたい方などは、すぐに設置できる墓標をとりあえず用意されるケースがあります。
しかし、石とくらべて耐久性は劣ってしまうため、しかるべき時期がきたら石のお墓を建て直しましょう。