キリスト教は仏教と違う点が多く、親戚や友人から儀式に呼ばれた際に内容がわからず戸惑ってしまうこともあるでしょう。
そもそもキリスト教には仏教での法要に当たるものはあるのでしょうか?
今回はキリスト教の法事について、カトリックとプロテスタントそれぞれをご紹介します。
キリスト教の法要は追悼ミサや記念式
キリスト教では追悼ミサや記念式が、仏教での法要に相当します。
しかし、キリスト教にはそもそも故人を供養するという考え方がないため、法要を行うことを義務付けられていません。
仏教は亡くなられた方があの世で幸せに過ごせるよう、極楽浄土を願って法要を行います。
それに対し、キリスト教は人が亡くなると神の御元に帰ると考えられており、とても喜ばしいものという認識。
そのため、仏教における法要のような儀式はありますが、故人の供養を行うのではなく、親族や友人が集まって故人のことを語り合ったり、遺族が故人とのお別れを行ったりするのが主な目的です。
カトリックとプロテスタントの儀式の内容について
儀式の内容はカトリックとプロテスタントによって大きく異なります。
それぞれの儀式の具体的な内容は次の通りですので、参列する際の参考にしてください。
・カトリック
カトリックは仏教の法要に当たる儀式のことを「追悼ミサ」と言い、故人が亡くなってから3日目と7日目、そして30日目に教会にて追悼ミサを行います。
それから1年後の命日になると、故人の昇天日として死者記念のミサを開き、聖歌の斉唱を始め、聖書の朗読や祈祷を捧げます。
その後親族や友人が自宅などに集まって、お茶会を開き故人との思い出に華を咲かせるという流れが一般的。
ちなみにカトリックでは11月2日を「死者の日(オールソールズデイ)」と定めており、信者たちが教会に集まって特別ミサを行っており、この日はお墓の掃除をして花を捧げるお墓参りを行います。
・プロテスタント
故人が亡くなってから1か月後を昇天記念日として、自宅や教会にて記念集会が開かれます。
自宅では遺影や花を飾るための祭壇が用意され、そこに牧師や親族、知人を呼んで礼拝を行います。
特に決まりはありませんが、十字架やマリア像を飾るほか、遺影の前に故人が生前に好きだった食べ物や趣味のものなどを置くことも。
その後は、1年目、3年目、7年目それぞれの昇天記念日に教会にて追悼のための記念集会を行うのが一般的です。
7年目以降は決まった集会がなく、その家庭で折を見てお墓参りを行います。
<まとめ>
キリスト教と仏教は故人の死に対して、根本的な考え方に違いがあることから儀式の内容も大きく異なってきます。
仏教は故人の成仏を願って供養するのに対し、キリスト教では死そのものを悲しむのではなくむしろ喜ばしいものとして、追悼ミサや記念集会が開かれるのです。
そのため、葬儀や儀式に参列する機会があったら、死を悼むのではなく神の元へ帰った故人を想い、親族の方々と思い出話に華を咲かせてみてはいかがでしょうか。