葬儀などの冠婚葬祭は、地元に古くから伝わる風習を受け継ぐところがたくさんあります。
自分にとっては当たり前の風習でも、他の地域から見れば変わった風習だと思われることもあるかもしれません。
今回は、宮城県ならではの葬儀の風習をご紹介します。
式前出棺が行われる地域がある
もともと葬儀の基本的な流れは、お通夜と葬儀を終えてから出棺・火葬を行うところが多いです。
しかし、宮城県では「式前出棺」を行う地域があり、出棺と火葬を済ませてから葬儀を執り行うのが一般的。
これは宮城県だけでなく東北によく見られる風習で、古くから交通の便が悪い地域では遺体が傷んでしまう前に、火葬を済ませる習慣があったと言われています。
今では飛行機など交通の便が発達したため一日で日本中を行き来できますが、昔は交通の便が悪いと遠方の親族が全て揃うのに何日もかかっていました。
その間に遺体が傷んでしまうことも多かったので、衛生的な問題から火葬を先にするようになったのです。
出棺時に「天冠」を被る
宮城県の一部地域では、出棺の時に男性が白い三角の布(天冠)をつけ、女性は白い頭巾をかぶることがあります。
このように亡くなった方と同じ格好をすることで、「故人が旅立つまで共に見送る」という思いが込められているとの説があります。
また、出棺後に布を外すのは「旅立ちは故人一人で、他の人を連れて行かないで欲しい」という考えのもと。
穢れのない白はもともとこの世とあの世を結ぶ象徴と考えられており、また故人が閻魔大王と謁見する際に身に付けていないと失礼に当たるとの説もあります。
一般会葬者にお金を撒く
石巻などの一部地位では葬列の際に、懐紙に一枚ずつ包んだ小銭を一般会葬者へ撒くという風習も。
まき銭は行年年齢(満年齢)分用意しますが、最近は撒かずに受付にて会葬者一人ひとりに手渡しする場合もあります。
お通夜で「白ぶかし」を食べる
白ぶかしとは、もち米に小豆の一種である白ささげ豆を混ぜたおこわです。
もともとお通夜ではおこわを食べる慣習が全国にありますが、これは土葬が主流だった時代に体力をつけてもらうために振る舞われました。
数十キロの体を移動させる作業はとても重労働だったことから、お通夜のときにもち米を食べて精をつけていたのです。
契約講が喪家の手伝いをする
近年は核家族化が進み、近所との関係が希薄になっているのが社会問題の一つとして持ち上がっています。
しかし、宮城県では今も「契約講」などの近隣組織が残されていて、葬儀を行う際に10軒ほどの家が喪家を手伝う風習があります。
もともと宮城県では、葬儀は地域全体の重要な仕事として、会社よりも優先すべきものと考えられてきました。
そのため、宮城県では葬儀を依頼する時も葬儀社だけでなく、契約講の代表にも連絡をして打ち合わせを行います。
<まとめ>
葬儀やお墓の風習は地域によって違いがあり、他の地域を見てみると自分にとっては驚くような風習も残っているところがまだまだあります。
遠方で暮らす親族の葬儀に招かれた際は、このような風習の違いに驚くことがあるかもしれません。
しかし、故人を心からお見送りする気持ちは全国共通のものです。
葬儀に参列する際は、悔いの残らないよう心からのお見送りをしましょう。