宮城県の代表的な石材の一つが「伊達冠石(だてかんむりいし)」です。
この伊達冠石は世界に数ある石材の中でも、とても珍しい種類で宮城県でのみ産出される石として有名です。
今回は、そんな伊達冠石の魅力についてご紹介いたします。
伊達冠石の歴史
伊達冠石は、宮城県にある大蔵山から産出される石です。
この大蔵山は鉄分を含んだ赤土が豊富な土壌であり、赤土の地表部分から10メートルほど彫り進めたところにあるのが伊達冠石の岩石層です。
岩脈は大倉山の尾根に沿うように南北2kmに渡って続いており、1925年から現在まで産出が行われてきました。
石質は両輝石の安山岩で、採石される深さの層や場所によって色合いや模様がさまざまなのが特徴。
石目が細かく詰まっており、綿密な質感は磨くことで光沢が出て美しい墓石に仕上がります。
赤茶色の紋様が特徴の伊達冠石
伊達冠石は別名「泥冠(どろかぶり)」とも呼ばれており、採石してすぐの外面に泥が付着していることが理由。
この泥は通常のものとは違い、2~3年経過すると中に含まれる鉄分が太陽光に反応して酸化を起こし、錆び色になる特性を持ち合わせています。
そのため、やがて灰色と鉄が錆びて出た赤茶色の2色の模様が現れるという、唯一無二の性質があるのです。
この2色の紋様は、高級なチェロやバイオリンなどの裏板に用いられる楓の木のようなトラ目に似ており、石としての希少性の高さはもちろん、その美しさは独特の趣をかもし出しています。
伊達冠石の石目模様は、主に小目、トラ目、ほたる、にしきと分類されており、その中でも希少価値の高いトラ目は小トラ、トラ目、花トラと細かく分けられています。
このように、同じ石でありながら多彩な側面を持った石として、高い人気を誇っているのです。
伊達冠石は各地で彫刻の石材として用いられている
伊達冠石の経年によって表面が鉄錆色になるその独特のカラーは、墓石だけでなくあちこちでモニュメントとして用いられています。
特に原石の表面部分と内面との色合いの違いが豊かで、造形としても多くの可能性を秘めている石なのです。
伊達冠石を使ったモニュメントは、鹿児島県庁や東京フォーラムなどに飾られており、空気に触れることで徐々に変化していく石の色合いが、味わいのあるモニュメントを生み出していると言えるでしょう。
<まとめ>
伊達冠石は古くから和型墓石に使われてきましたが、近年では洋型墓石にも伊達冠石を希望する方がいらっしゃいます。
大蔵山の環境あってこそ生まれるその独特の風合いは、お墓の経年によって違う表情を見せてくれる石でもあります。
実際に伊達冠石をご覧になりたい方は、ぜひ展示している石材店に足を運んでみてはいかがでしょうか。