お墓の建立を検討している方なら、「永代使用料」や「永代使用権」という単語を目にしたことがあるのではないでしょうか?
お墓を建てるには墓石自体の費用だけでなく、利用する墓地に支払うさまざまな料金も必要になります。
そこで今回は、お墓を建てるなら知っておきたい「永代使用権」とは何かについてご説明いたします。
永代使用料の歴史について
そもそも、墓地を各家庭に分譲するようになったのは江戸時代のこと。
お寺の檀家制度が始まった中で、菩提寺が檀家へお墓を建てる場所として土地を無料で貸し出したのが始まりと言われています。
貸し出した墓地は長男が代々に渡って受け継ぎ、そのお礼として菩提寺にはお布施をお渡しして経営を支えてきたのです。
今でも寺院墓地は数々残されていますが、時代が流れるにつれてお寺だけでなく、公益事業の一つとして公益法人が運営する有料の分譲墓地や、自治体が運営する公営墓地も登場。
有料ではありますが土地を販売しているのではなく、お寺と同じく土地そのものを貸し出す「使用権」を提供しています。
この使用権のことを「永代使用権」と言い、その権利を購入するためにかかる費用が「永代使用料」。
お墓を新しく建てる場合は、墓地や霊園問わずこの永代使用料などの費用が発生するのです。
お墓は他人に譲渡できない
先ほど述べたように、墓地は土地そのものを購入するのではなくあくまで、そこにお墓を建てる権利を得るということ。
そのため、お墓やその区画を他人に譲渡することはできません。
ごくまれに所有権分譲の墓地も存在しますが、現在でも墓地のほとんどが永代使用権を購入するというスタイル。
こちらの永代使用権は、相続税や贈与税の対象にはなりません。
ですので、お墓の継承者となる方はこのようなお金の負担がなく、代々に渡って受け継がれていきます。
また、墓地は所有しているわけではないので登記も行わず、墓地の使用権については経営しているお寺や公益団体が発行している「永代使用権利証」にて証明されます。
期限付き墓地も増えてきている
永代使用権はその名の通り、永代に渡ってその墓地を使用できる権利のこと。
そのため、一度永代使用料を支払えばその墓地を何代にも渡って使用することになります。
しかし、近年ではお墓の継承者がおらず、墓じまいをする家庭が増加する背景から、永代ではなく期限付きの墓地も登場しています。
たとえば、夫婦墓や個人墓などのお墓の形や、子供がおらずお墓の継承者が見つからない場合は、その区画が無縁墓となってしまいます。
無縁墓になると、最悪お墓ごと撤去される可能性がありますが、期限付きの墓地はその時期がやってくれば自動的にその墓地が運営する永代供養塔や納骨堂などに遺骨が埋葬され、永代供養が行われます。
このようなスタイルのお墓は、家族墓を建てない方や、子供がいない夫婦に人気です。
<まとめ>
お墓はもともと一度永代使用権を得ることで、その名の通り永代に渡って土地を利用することが可能です。
また、墓地を利用する際は永代使用料以外にも管理料を支払う必要があります。
こちらは墓地や霊園をきれいに保つために使われる費用で、金額は管理団体によって違いがあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
管理料が支払われないと、その墓地の使用権を失う可能性も考えられるので十分に注意してください。