春分と秋分の日は、一日の昼と夜の長さがほとんど同じ日のことです。
また、これらはお彼岸の中日にあたり、多くの方がご先祖様や故人に感謝の気持ちを伝えるためにお墓参りを行います。
しかし、このお彼岸はご先祖様への供養だけでなく私たち自身が修行をする期間でもあるのをご存知でしょうか?
目次
彼岸は悟りの世界
仏教では、彼岸は仏様がいる悟りの世界であり、川を挟んで反対側の私たちが暮らす世界を此岸(しがん)と呼んでいます。
そして、昼と夜の長さがほとんど同じになる秋分と春分は、この彼岸と此岸の距離が一年でもっとも通じやすい日だと考えられているのです。
そのため、春分と秋分の前後3日間の合計一週間をお彼岸と言い、ご先祖様を供養するようになっていきました。
この彼岸という名称は「至彼岸」を略したものであり、サンスクリット語の「パーラミター(波羅密多)」を訳した言葉。
私たちが至彼岸に渡るには、こちらの此岸にある迷いや苦悩を断ち切る必要があり、「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という教えを実践する必要があると考えられているのです。
このように、お彼岸はご先祖様への供養だけでなく、自分自身の日頃の行いを反省し修行をする大切な時期でもあったのです。
六波羅密の教え
六波羅蜜の教えを実行することで、仏様の悟りの世界へ到達することができると考えられています。
お彼岸の時期は、ぜひ以下の6つのことを頭に置いておき、日々の行いを心がけてみてはいかがでしょうか。
・布施(ふせ)
誰かのために何かを惜しまず善い行いをすること。
人の善行には有形と無形があり、有形はお金や品物で相手に施しを与え、無形は知識や教え、温かい言葉をかけたり何かを手伝ったりなど、返礼を期待しない行為のことを言います。
もちろん、善行を受ける側もそれ以上の施しを望んではいけません。
・持戒(じかい)
他人に迷惑をかける行為はしない。
ルールを守って過ごし、慎みある生活を心がけることです。
・忍辱(にんにく)
不平不満を言わず、辱めを受けてもそれに対し耐え忍ぶ姿勢を持つこと。
これによって、自身が他者に生かされていることを学び、仏様の慈悲に通じます。
・精進(しょうじん)
どんなことでも最善をつくすよう努力を怠らないこと。
努力をして良い結果が出ても、それに慢心せず向上心を常に持って継続をしましょう。
・禅定(ぜんしょう)
何か問題が起きても常に気持ちを落ち着け、動揺しないこと。
常に心の平静を保って周囲の雰囲気に流されずに過ごします。
・智慧(ちえ)
洞察力を鍛え、物事の真理を見極める力を持つこと。
人は生まれながらに仏様の智慧を授かっていますが、生きているうちに欲望が強くなってしまい知識だけで物事を判断してしまいます。
物事の真理を見極め、常に自分を高めていきましょう。
<まとめ>
この六波羅蜜を心がけ実践していくことで、現世の私たちは彼岸に到達できると考えられています。
私たちが忙しく過ごしている毎日の中で、つい忘れてしまいがちなことを六波羅蜜が教えてくれているのです。
普段全てを実践するのは難しいですが、せめてお彼岸の時期だけは、ご先祖様への感謝の気持ちを伝えるだけでなく、六波羅蜜を実践してみてはいかがでしょうか。