お墓参りに行った際に、家紋が彫刻されているお墓を数多く見かけます。
特に和型墓石のほとんどに家紋が彫刻されており、明治時代から現在にいたるまでお墓のシンボルとして使われてきました。
そもそもどうして、このようにお墓に家紋が彫刻されるようになったのでしょうか?
今回は、お墓に彫刻される家紋とはどんなものなのかくわしくご説明いたします。
家紋とは?
家紋(かもん)は、一言で表すとご先祖様から代々伝えられている、その一族のロゴのようなもの。
その歴史は武士が栄えていた鎌倉時代までさかのぼり、一目でどこの家系の武士なのかを把握するために用いられてきました。
特に戦では家紋によって、敵味方の判別にも使われていて、旗はもちろん鎧や刀などの武具、着物にも大きく家紋が入れられ、自らの存在を周囲に伝えていたのです。
また、家紋のデザインも縁起の良いものを掛け合わせたタイプや、家訓や武将の信条などを記号化したものなどとても多岐に渡ります。
たとえば、伊達政宗の家紋は、「竹に雀紋」と言い、中央の2羽の雀を囲うように竹が円を描いたデザイン。
これは伊達実元が上杉家へ養子縁組をする際に、引き出物として与えられた家紋です。
養子縁組自体は破談になりましたが、縁起の良い雀と笹の組み合わせをいたく気に入った伊達政宗が自分の家紋として定めてから、今もなお有名な家紋として私たちに伝わっているのです。
家紋をお墓に刻む理由について
江戸時代に入ってからも家紋の文化は衰えず、武士が紋付の着物や提灯を持って道端を歩く光景も当たり前のものになりました。
現在のような家族墓が、武士を始め町民にも広がりを見せたのも江戸時代のこと。
着物だけでなく、お墓にも一族の大切な家紋をお墓に彫刻する文化もここから生まれました。
お墓はその一族が長きに渡って代々受け継いでいくとても重要なもの。
ご先祖様が埋葬されている神聖な場所だからこそ、お墓に家紋を彫刻する文化が根付いたのです。
自分の家紋がわからない場合は?
新しくお墓を建てるにあたって、自分の家紋がわからないという人も多いです。
以前とくらべて、家紋にこだわっている方は少なくなり、一族に家紋が存在すること自体把握していないケースも少なくありません。
お墓に家紋を入れたいのなら、祖父母や親戚、家系図などを調べるのが一番ですが、それでもわからないご家庭もあるかと思います。
しかし、最近ではあえて家紋を彫刻せずに、故人が好きだった文字や絵を彫刻される方が増えてきました。
また、自分の新しい紋を作ってお墓に彫刻するという方法もありますので、お好みの方法で家紋の彫刻をどうするのか決めましょう。
<まとめ>
家紋はその一族が長年受け継いできた、一族の証明になる大切なものです。
しかし、最近ではあえてお墓に家紋を彫刻せずに、イラストや文章を彫刻するデザインも人気ですので、必ずしも家紋を彫刻せねばならない訳ではありません。
お墓は代々に渡って管理されるものですので、家紋を入れるかどうかはご家族とよく相談しておくことをおすすめいたします。