墓地でよく見かけるお地蔵様や観音様。
どちらも見かけたら手を合わせてお参りする対象ではありますが、この2つはどのように違いがあるのかをご存知ですか?
今回は見かけることが多いけれど、あまり違いがわからないお地蔵様と観音様の違いについてご紹介します。
お地蔵さまとは?
お地蔵さまは正式名称を「地蔵菩薩」と言い、赤いよだれかけをつけている優しい風貌をイメージする方が多いかと思います。
このお地蔵さまは、もともと仏教のサンスクリット語「クシティ・ガルバ」を訳したもの。
クシティは大地、ガルバは胎内や子宮、つまり「大地の母胎」との意味を持っています。
大地がこの世のすべての命を育む力を持っているように、お地蔵様はいろいろな苦悩を抱えている人々を慈悲の心で包み救ってくれる存在なのです。
ちなみにお地蔵様にはいろいろな役割があり、代表的なのは安産や子供の成長を願う「子安地蔵」「子育て地蔵」。
そして災難にあった人々の苦しみを身代わりとして引き受ける「身代わり地蔵」など、たくさんの種類があります。
観音さまとは?
観音様は「観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)、「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」の略称です。
サンスクリット語では「アバロキテーシュバラ」と言い、漢字のとおり天界からこの世の「音」を「観る」ことを自在にできる菩薩様です。
この観世音菩薩とは、将来仏様になることが決まっているものの、現在はまだ修行中の身として人などの生き物の救済を行っている存在。
人々の苦しみをとって楽しい気持ちにさせる「抜苦与楽(ばっくよらく)」という慈悲のお心を持っています。
慈悲の「慈」とは、私たちの周りにある自然や動物はすべて友であり、同じ空気や水を飲んでいる仲間だと実感をすることを意味しています。
そして「悲」はそんな友の痛みや苦しみを自分のもののように受け取る心のこと。
この慈悲を持つことで、人としてすばらしい道を生きていくとの教えを伝えているのです。
お地蔵様と観音様の違いは?
観音様は人々の苦悩を救済する菩薩様。
そしてお地蔵様はどちらかと言えば、道祖神など庶民の身近に常に存在する対象として信仰されています。
どちらも菩薩様ですが、観音様は深い慈悲の心を持っているように見た目が母性的なものが多いです。
お地蔵様も同じ菩薩ではあるものの、坊主のように袈裟をつけた格好をしていることから、私たちにとってより身近な存在の菩薩様なのです。
<まとめ>
お地蔵様と観音様はどちらも菩薩という存在です。
しかし、お地蔵様は五穀豊穣から子育て、長寿息災といった私たちに身近なことをお願いする対象です。
そして観音様は私たちに慈悲のお心を持って、さまざまな苦しみから救おうとしてくれる存在。
似ているようで違いがある存在ですが、どちらも私たちの苦悩を救い災いから守ってくださる方です。
今度お墓参りに行く際は、お地蔵様と観音様をじっくりと見比べてみてはいかがでしょうか。