お墓の形状やお参りの作法は、宗派によって違いがあり、その宗派に合わせた方法でご先祖様を供養する必要があります。
特に浄土真宗は、他の宗派と違って戒律や修行などがない、珍しい宗教でもあります。
そこで、今回は仏教の一派である、「浄土真宗(じょうどしんしゅう)」という宗派について、くわしくご紹介いたします。
浄土真宗の開祖と教えについて
浄土真宗(じょうどしんしゅう)は浄土宗の開祖、法然の弟子である親鸞が開いた浄土教の一つです。
浄土真宗は阿弥陀仏の力によって、どんな人でも必ず救済されるという「絶対他力」の教えを重んじています。
これは、信心を持っていれば往生した際に、すぐに成仏することができるという考え。
浄土宗では、もともと「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、極楽浄土へ旅立つことができるという「専修念仏」という教えが中心です。
しかし開祖である法然が亡くなった後、この念仏と往生への考え方が異なる弟子たちによって複数に分派されました。
その中の一つである浄土真宗は、自力で往生を目指すのではなく、物事すべてを阿弥陀仏にお任せする「絶対他力」を説いたのです。
つまり、浄土宗は念仏を無心で唱えれば極楽浄土へと旅立つことができますが、浄土真宗はただ「南無阿弥陀仏」と唱えるだけではなく、阿弥陀仏への感謝の気持ちを込めて信心を持って唱えることが大事だと考えられているのです。
浄土真宗の修行について
基本的にその宗派の僧侶となるには、厳しい戒律を守って修行を積むという経験が必要です。
しかし、浄土真宗は滝行や座禅、瞑想などの修行は行わない珍しい宗派でもあります。
これは、浄土真宗が阿弥陀仏の本願によってだけ、私たちは救われることができるのだという考えの元。
そのため、あくまで浄土真宗では阿弥陀仏に対しての信心を持って「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることが、極楽浄土に旅立つ上でもっとも重要なことと定めているのです。
浄土真宗の門徒の方々は、朝夕のお寺の掃除などのお勤めを日々行うことが中心で、僧侶への戒律もありません。
ですので、門徒でもお肉を食べることができますし、結婚して妻子を持つことも可能な宗教なのです。
浄土真宗のお墓の特徴は?
浄土真宗のお墓は、基本的に幹石の部分に「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」という、阿弥陀仏の教えを彫刻するデザインが一般的です。
そのため、お墓でよく見かける「先祖代々之墓」や「○○家之墓」は彫らないお墓が多いです。
家名を入れる際は、阿弥陀仏の教えを彫刻した下の部分や二段目、花立ての近くに彫刻する形になります。
また、浄土真宗では卒塔婆供養をしないため一般的には必需品となる塔婆立が必要ない構造になるため設計には注意が必要です。
<まとめ>
浄土真宗は「南無阿弥陀仏」と阿弥陀仏への信心を持って唱えることで、極楽浄土に行けると考えられています。
そのため、戒律や修行がないなど、ほかの宗派にはない特徴がある宗教と言えるでしょう。
また、お墓には家名ではなく教えを中心に彫刻するといった違いもあるため、お墓の建立や法要を行う際は、ご住職様などの宗教者に確認をしておくのがおすすめです。