お墓の彫刻は鉛筆で書いた文字と違って、一度彫れば簡単に消すことができません。
ですが、お墓は人が作っている以上間違いが起こることもあり、戒名が本来と違う文字で彫刻されたとのトラブルもまれにあります。
万が一お墓に彫刻する文字が間違っていたら、どのように対処をすればいいのでしょうか?
今回はお墓への彫刻が間違っていたときに、慌てないための対処法をご紹介します。
文字が部分的に違っていた場合
戒名に使われている漢字は旧書体や新書体があり、似たようなものが数多くあります。
そのため、まれに戒名の文字が違っていたケースがあるのです。
間違って彫刻してしまった部分を完全に元に戻すことはできないので、その部分を削り取るか埋めるかが基本的な修正方法。
一文字だけ違う場合は、その部分をパテで埋めなおして改めて彫り直す方法があります。
これだと費用が安く済みますが、埋めた部分の境目が目立つのがデメリット。
ほかにも間違えた文字だけをくり抜いて、同じ石材をはめ込んで彫刻する方法もあります。
文字を囲うように石をくり抜いて新しい石をはめ込んで修正するため、パテで埋めるより境目が目立ちにくくなりますよ。
それでも全く目立たないというレベルではないため、少しの跡も残さないなら彫刻面をすべて削り取る、いわゆる「磨き直し」によって再度彫り直す方法もあります。
彫刻場所が違っていた場合
戒名は並び方に特に決まりはありませんが、早く亡くなられた方から並べるのではなく夫婦ごとに彫刻していくことが近年では多く見受けられます。
そのため、1名分あけておくつもりが続けて彫刻してしまうトラブルが起こりやすいのです。
墓誌や石塔部分への彫刻場所が間違っていた場合は、研磨機を使ってその部分を削り取るか、面を全て削って磨き直して一から彫刻し直す方法があります。
特に石塔の側面に彫られた戒名は、片面だけを削り取ってしまえば削っていない側とのバランスが悪くなってしまいます。
ですので、彫刻を間違えた面と反対の面の両方を磨き直して、改めて戒名を彫り直す形になります。
納骨式、開眼供養はどうする?
戒名の間違いに気づいたあとに、納骨式や開眼法要を行う場合は、時期によって修正作業が間に合わない可能性があります。
戒名を間違えたままのお墓で納骨式を行うのは、抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、僧侶や親族のスケジュールの都合もあるため、どうしても間に合わないときは納骨式や開眼法要が終わってから修正する形になります。
特に戒名を彫る位置の間違いはその面の磨き直しが必要になるので、一旦竿石を石材店の作業場に持ち込んで修理することもあります。
その場合は工事期間が最低でも1週間以上必要になるので、納骨式や開眼法要に間に合わない場合は予約をしておき、法要が終わり次第作業に当たってもらいましょう。
<まとめ>
人が作っている以上、お墓への彫刻が間違っていたというトラブルはまれに起こります。
しかし、お墓を全て建て直さなくても部分的に削ったり、パテで埋めたりといろいろな修繕方法があるので、そのお墓に合わせた方法で修正を依頼しましょう。
また、戒名の彫り間違いが起こらないように、石材店へ渡す原稿に間違いがないかしっかり確認することも大切です。