道の脇や墓地、お寺などさまざまな場所で見かける「お地蔵さま」。
この何かと見かける機会の多いお地蔵さまは、一体何のために建てられているのでしょうか?
今回は、知っているようで知らないお地蔵さまとはどんな方なのか、またどのような意味があるのかについてご紹介します。
お地蔵さまはどんな存在?
お地蔵さまは、正式な名称を「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」と言い仏教での信仰対象です。
「菩薩」は成仏を求めている修行者として、人々に教え、導くもっとも身近な信仰対象として庶民に親しまれてきました。
状況に合わせて色々な姿に変わり、人々の苦悩を慈悲の心を持って包み込んでくださる存在です。
そのため、お地蔵さまと一口に言ってもさまざまな役割を持っています。
たとえば妊婦の安産を守護している「子安地蔵」、村の境界を守っている「道祖神」、災難で亡くなった方々の無念や苦しみの想いを身代わりになって引き受けている「身代わり地蔵」など。
このように、人々を正しく導き見守るだけでなく、亡くなった方などの苦しむ気持ちを救済する役目も担っているのです。
お墓と一緒にお地蔵さまがあるのはどうして?
墓石の手前にお地蔵さまが一緒に建てられているお墓を見かけたことはありませんか?
もともとお墓と一緒に建立したお地蔵さまは、中絶や死産してしまった胎児である水子や、生まれてからも病気などで亡くなった幼子を供養することが目的でした。
また、お地蔵さまは地獄に落ちて苦しむ人々すべてを平等に救う存在でもあります。
そのため、お墓にお地蔵さまを設置するのは水子供養だけでなく、ご先祖様や故人があの世で苦しまず、安らかに眠れるようにとの願いを込めて建立するのです。
お地蔵さまに赤いよだれかけをするのはどうして?
お地蔵さまと言えば、赤い頭巾とよだれかけを身に着けているイメージがありますよね。
これはお地蔵さまが小さい子供を災厄などから守る菩薩として信仰されていることが多いため、自分の子どもが無事育つようにと想いを込めて、赤いよだれかけや頭巾を奉納すると言われています。
この赤という色は、「清くて正しい正直な色である」と考えられており、魔除けの意味が込められているのです。
還暦を迎えた方も、赤い頭巾とちゃんちゃんこを身に着けてお祝いをしますが、これはお地蔵さまに赤いものを身に着けるのと同じく、干支が巡って赤子に還るという意味から来ています。
<まとめ>
お地蔵さまは私たちの近くで、常に生活を見守り厄災などから守ってくれる存在です。
ぜひ、道端などでお地蔵さまを見かけた際は、いつもと変わらない平和な日常が送れることに感謝し、手を合わせてお礼を言いたいですね。