以前はほとんどの家庭がお寺の檀家になっていて、菩提寺との結びつきがとても強いものでした。
しかし、最近ではお墓の継承者が都会に引越しをしていて菩提寺が遠く、なかなかお墓参りができないケースも増えてきています。
その場合はこれまでどおり管理していくために、お世話になったお寺から離檀して、改葬の手続きを進めていく方もいらっしゃいます。
今回はお墓の引越しでお寺を変える際に知っておきたい、確認点と注意点をご説明します。
お墓の引越しとは
遺骨を別の墓地に移したり納骨堂へ納骨したりと、これまでの場所からお墓を移動することを「改葬」と言います。
この改葬は墓地埋葬法によって取り決められており、市区町村へ許可の申請を行う必要があります。
また、改葬で注意したいのが現在檀家になっている菩提寺の許可も、改葬の申請と合わせて必要なこと。
このように檀家をやめることを「離檀」と言い、お寺へ確認しておきたい点がいくつかあります。
後にトラブルにならないためにも、これから紹介する点をふまえて相談を進めていきましょう。
お寺を変える前に確認しておきたいこと
お寺を変える前には、あらかじめご住職に確認しておきたい項目がいくつかあります。
・宗派について
これまでの菩提寺の宗派とは違う墓地に、改葬を行う場合はそれぞれお寺によって作法の違いがあります。
基本的に仏教であれば仏壇、位牌、そして戒名を変更しなくていいケースが多いですが、宗派の中にはもともと戒名がないところも。
次のお墓では戒名を彫刻しない可能性があるため、前もってご住職に確認しておくことをおすすめします。
・離檀料について
また、菩提寺から別のお墓に引越しをするのは離檀をする形になります。
離壇の際はこれまでお世話になった菩提寺へ感謝の気持ちをこめて、離檀料をお包みしましょう。
離檀料の金額はそのお寺によって違いがあるため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
離それと同時に別のお寺へ移る場合は新しく入壇料をお渡しするので、合わせて相談を進めていくと、改葬にかかる全費用を早めに知ることができます。
お寺を変える時の注意点
お寺を変える時は、これまで長い間ご先祖様を供養してくださったことへの誠意を持って、離檀料をお渡しします。
お寺はお布施によって生計を立てているため、中には離檀をよく思わない菩提寺もあります。
そのため、離檀をするには100万円の離檀料を支払う必要があるなど、法外な金額を請求してくるトラブルも問題になっています。
このようなトラブルの背景には、お寺だけでなく改葬を行う檀家側の対応も原因の一つと考えられています。
たとえば、これまでご先祖様を供養してくださった菩提寺に対して、相談をしないで前触れなく改葬手続きを進めてしまう方もいらっしゃいます。
長年お世話になったお寺だからこそ、最後まで誠意を持って良好な関係を続けていきましょう。
そのためには、早い段階で離檀の意志を伝えることが大切です。
事情があってやむなく改葬することや、改葬を進めたい時期などをご住職と相談をして、お互いが無理のないスケジュールで進めていきましょう。
<まとめ>
お寺からお墓を引越しする際は、宗派の違いや離檀料などいろいろ確認しておきたい点があります。
市区町村に申請する書類や引越し先の墓地での手続きなど、改葬は何かと準備することが多く時間も手間もかかります。
ですが、最後までお世話になったお寺への感謝の気持ちを持って、必ず相談をしながら改葬を進めていきましょう。