日本には座禅によって修行することに重きをおく禅宗五家が存在し、その中の一つが臨済宗です。
そんな臨済宗は他の宗派とくらべて、どのような特徴があるのでしょうか?
今回は、臨済宗とはどんな宗派なのか、またお墓の特徴についてご紹介します。
臨済宗とは?
臨済宗(りんざいしゅう)は、中国の禅僧である臨済義玄禅師が宗祖の宗派で、日本に伝えられたのは、明庵栄西(みょうあんようさい)と言われています。
浄土宗や浄土真宗は、「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、極楽浄土へ旅立てるという教えなのに対し、臨済宗は経典が特に指定されていません。
これは、念仏ではなく座禅によって悟りを得ることこそが、極楽浄土へとつながると考えられているため。
特に武士の時代と言われた鎌倉時代では、剣の道を究める修行の一環として座禅が広がりを見せました。
ご本尊は「釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)」であり、人が生まれながらに持っている純粋な人間性を座禅によって自ら悟ることが目的。
悟りを得ることで、仏様とも変わらないほどの人の尊さを実感できると考えられています。
臨済宗の座禅は「看話禅(かんなぜん)」と言い、その最中に師が「公案」を出すというスタイル。
曹洞宗は壁に向かって座禅を行うのに対し、臨済宗はこのように人と向かい合って座禅をする対面形式です。
弟子はこの公案に対して、単純に頭で答えを探すのではなく、座禅によって体全体を使って精神統一し、理論的な部分を超越した先にその答えを導き出すのが目的です。
臨済宗の葬儀について
臨済宗の葬儀の特徴は、位牌の最上位に「○」を書いたものを用いること。
この○は円寂を表したものであり、故人が悟りの境地に至ったことを表しています。
実は仏壇へ位牌を祀るようになったのは、臨済宗が始まりとも言われており、鎌倉時代からの武家文化が関係していると言われています。
臨済宗のお墓の特徴は?
臨済宗のお墓は、禅宗に見られる特徴である、墓石の竿石部分に「円相」が刻まれています。
円相は悟りや心理などを円形によって表現したもので、「○○家之墓」の上部に彫刻されることが多いです。
他にも、ご本尊である「南無釈迦牟尼仏」と彫刻しているお墓もあり、五輪塔は上から「空」「風」「火」「水」「地」とそれぞれ梵字を刻みます。
しかし、現在では和型墓石だけでなく、洋型やデザイン墓石が増えてきたことから、このような彫刻を施さないお墓も。
お墓を建てる方が好きな言葉や、故人がお気に入りだった言葉を彫刻される方もおり、見た目のデザインや形は自由になりつつあります。
<まとめ>
臨済宗は鎌倉時代の武士社会において、広がりを見せた禅宗です。
当時、曹洞宗が庶民へと広がったのに対し、臨済宗は武士などの上層階級で浸透していきました。
ちなみに一休さんで有名な一休純禅師も、臨済宗のお坊さんです。
このように同じ禅宗でも、考え方や教えが異なるため、法要に参加する機会がある方はマナーや作法に失礼がないよう注意したいですね。