日本では仏教がもっとも普及していますが、さらにいくつもの宗派にわかれています。
そんな宗派の中に「真言宗(しんごんしゅう)」という一派があります。
今回は真言宗とはどんな宗教なのか、また真言宗のお墓の特徴についてご紹介いたします。
真言宗の開祖について
真言宗は、秘密仏教である「密教」に分類される宗派です。
かの有名な弘法大師(こうぼうだいし)空海が開いたもので、ご本尊は大日如来(だいにちにょらい)。
この大日如来は、いわば宇宙の全てであり森羅万象を統べる存在、この世の最高位であると言われています。
仏教の開祖と言えば釈迦ですが、大日如来は釈迦を生み出した存在と考えられるほど、真言宗においての偉大な存在とされているのです。
また、真言宗は大日如来がご本尊でありますが、それと同時に「全ての仏は大日如来が姿を変えたもの、化身である」との考え方があります。
ですので、大日如来に限らず釈迦や阿弥陀如来も、大日如来が姿を変えた仏様であるとして、真言宗にとっては同じく信仰の対象なのです。
真言宗の修行について
真言宗の教えは、「人は誰でも心の中に仏の種を持っている。悟りを求め続ける強い心があれば、いつか私たちも仏の力を受けて仏に成ることができる」というもの。
そのため、人は亡くなると単純に死後ではなく、今の自分の姿のまま仏に成り替わることができる「即身成仏(そくじんじょうぶつ)」が、真言宗が目指す高み。
修行は高野山や東寺で行い、密教業者としていろいろな知識や儀礼の作法を学んでいきます。
真言宗のお墓の特徴は?
真言宗のお墓は、「○○家之墓」だけでなく、「南無大師遍照金剛」と彫刻する和型墓石が一般的です。
ほかにも竿石の正面上部にご本尊の大日如来を意味する梵字を彫刻することがあります。
しかし、最近では家名だけのお墓のデザインが多く、家名以外にも故人が好きだった言葉などを自由に彫刻するお墓も増えてきました。
ちなみに真言宗の五輪塔の場合は、「空」「風」「火」「水」「地」を意味する梵字で、五輪塔の上から1つずつ順番に彫刻していきます。
梵字でなくそれぞれの漢字を刻みたいとおっしゃれるお客様もいますが、真言宗においてご本尊である大日如来を表すものですので、そのままの梵字で彫刻するのが望ましいと言われています。
<まとめ>
真言宗は「即身成仏」を目指して、生きている間に修行を積むことを教えにしている密教です。
好きな言葉やデザイン墓のお墓も増えてきていますが、そのお寺によってはある程度お墓のタイプやデザインについて決まりを設けているところも。
ですので、お墓を建立するときは事前にご住職などの墓地の責任者に確認しておくことをおすすめいたします。