天台宗(てんだいしゅう)は、東南アジアの各国へ伝わり、中国、日本へと伝来されました。
最澄が開祖として有名な宗教ですが、具体的にはどんな教えを説いている宗教なのでしょうか?
今回は、天台宗の歴史や教え、またお墓の特徴についてご説明します。
天台宗の開祖について
天台宗(てんだいしゅう)は正式名称を「天台法華円宗」と言い、伝教大使最澄(さいちょう)が平安時代に開いた宗教です。
最澄は真言宗の開祖である空海などと一緒に、唐へと渡り中国の天台山にて法華経を学びました。
翌年805年に帰国し、天台宗は806年1月26日に立教日として定められています。
ご本尊は釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来の三尊ですが、天台宗は一尊一仏に限定しないため、ほかの観世音菩薩や不動明王などもご本尊として扱うこともあります。
平安時代初期は、すでに日本へ法相宗や華厳宗、律宗などの南部六宗が伝えられていました。
その中でも律宗を日本にもたらした鑑真は、来日した際に天台宗に関連する典籍も日本にありましたが、日本中へ広めたのは最澄と言われています。
天台宗の修行と教えについて
最澄の教えの前提は、すべての人は仏の子供であるというもの。
これを「悉有仏性」と言い、釈迦が悟りを開いたから悟りの世界があるのではなく、仏の子供である私たちも悟りに至るための根源が心の中にすでにあるという意味です。
最澄は心にある悟りのきっかけに気づき、その後どうやって成長しているかが悟りの境地へ行きつくために重要だと説きました。
そして、悟りを開くには座禅だけに限らず、たとえば写経、茶道から華道まで、とにかく一つのことを極め、真実を探し求めていく心こそが、境地に至る道だと説いたのです。
そんな真実を求める心を持つために、天台宗では戒を授かることを推奨しています。
たとえば、総本山である比叡山の峰々をめぐって礼拝する「回峰行」、12年間山に籠って食事から坐禅などの修行に明け暮れる「十二年籠山行」など。
一つの修行に真摯になって向き合い、自分を鍛えぬくことで悟りに近づけると信じられているのです。
天台宗のお墓の特徴は?
そんな天台宗のお墓ですが、墓石へ彫刻する文字に細かい決まりはありません。
基本的には法華経の「南無阿弥陀佛」と彫刻するか、「〇〇家先祖代々」などが基本です。
また、彫刻の一番上に梵字を入れることもあり、その場合は大日如来を意味する「ア」という一文字を彫刻します。
しかし、最近ではお墓のデザインが多様化したことから、故人へのメッセージや好きな言葉を彫刻される方も増えてきました。
お墓の形状も和形だけでなく、洋型やデザイン墓石の天台宗のお墓も多いですが、菩提寺によってはお墓の形にある程度決まりを設けているところもあります。
そこでお墓を建てる際は、前もってご住職様へ相談することをおすすめいたします。
<まとめ>
天台宗は最澄が平安時代初期に日本へ伝えた宗教で、密教の「空」の発想を大切にしています。
万物をつかさどる大日如来を修行で感じ取ることで、自分の中に眠っている悟りの境地に至ることができると考えられているのです。
そんな天台宗はお墓に「南無阿弥陀佛」と彫刻するのが一般的ですが、今では宗教色をあまり感じない洋型墓石やデザイン墓石を選択する方も増えてきました。
お墓を建てる際は、自分の希望に合ったデザインや彫刻を検討してみてはいかがでしょうか。