近年少子高齢化によって、お墓を持たないなどの供養の形が多様化しています。
その中でも、2014年に出版された「0葬-あっさり死ぬ―」という本は世間に衝撃を与えました。
この0葬とは、遺骨の処理を遺族が行わず引き取りもしないという方法。
今回は、多様化する供養の形の中でも、世間に大きな衝撃を与えた0葬についてご紹介します。
0(ゼロ)葬とは?
0(ゼロ)葬は、その名の通り全くのゼロ(遺骨などが一切ない)の状態で亡くなること。
本来お骨は火葬された後、骨壺に収めてお墓や仏壇などに埋葬されます。
しかし、この0葬はそもそも火葬が終わったら遺骨を遺族が引き取らず、そのまま帰るという方法です。
日本では馴染みがなく衝撃的な葬儀のスタイルですが、実はこの0葬はヨーロッパの一部では当たり前に行われているもの。
火葬場にご遺体を搬入したら、遺族は火葬にも立ち会わずそのまま帰ってしまうところもあり、火葬した遺骨も引き取りません。
もしくは、火葬したお骨を一時的に火葬場が保管しており、数か月経っても引き取り手が現れないようなら、そのまま処分をするという地域も存在しています。
日本でも0葬は可能なのか?
ヨーロッパでは当たり前に行われている0葬ですが、日本ではほとんどの火葬場で遺骨の引き取りを原則にしています。
しかし、中には遺族が遺骨を引き取らずに火葬場の方で供養をできるところもあります。
もともと大阪などの西日本では遺骨の一部のみを遺族が引き取り、残った部分を火葬場で処分するというのが一般的な流れ。
そのため、西日本の火葬場によっては遺骨を全く引き取らずに、供養をお願いすることが可能です。
0葬を希望するにあたっての注意点
・自治体が0葬を許可しているか
遺族が遺骨を引き取らない0葬を希望するにあたって、まずは自治体の「火葬場条例」を確認しましょう。
その中には「焼骨の引き取り」についての項目があるため、引き取らないことが可能かどうか調べておくことをおすすめします。
火葬後すぐに引き取らなければならないと取り決めているところもあれば、引き取りが無い場合適切な処分を行うと取り決められた火葬場も存在します。
・家族との話し合いをする
本人が0葬を希望しても、実際に葬儀からお墓の手続きまでを行う遺族を説得する必要があります。
日本では遺骨を手元かお墓に埋葬することがほとんどですので、遺骨を引き取らない0葬を理解してもらうには、生前のうちに家族との話し合いの場を設けておきましょう。
また、親戚などから見れば遺骨を引き取らないなんて薄情な家族だと思われる可能性もあります。
そのため、0葬を希望するなら遺言書やエンディングノートを用意するなどして、残される遺族の精神的な負担を軽減するための終活を進めておきましょう。
<まとめ>
0葬は遺骨を残さないことで、遺族がお墓を用意するなどの負担をなくすためのもの。
この0葬では、故人が死後に眠りにつくのはお墓ではなく、遺族の心の中で生き続けていくものと考えられています。
しかし日本では馴染みが薄い上、葬儀が終わった後に遺骨をお墓に埋葬することで、初めて残された遺族の心の整理がつくという意見も多く出ています。
賛否両論の新しい供養の形ですのでもし0葬を希望するなら、生前の段階から火葬場などの自治体への確認、遺族への説得などを進めて、遺族間でのトラブルの原因をなくしておきましょう。