墓石は亡くなった方への敬意を表し、その人の記憶を永遠に留める象徴です。家族が故人を偲び、心を寄せる特別な場所となります。
墓石のデザインは、故人の人生や価値観を反映させるとともに、訪れるすべての人に感動や安らぎを提供する要素でもあります。
しかし、多くの方が「どのようなデザインがあるのか」「どのように選べば良いのか」と疑問を抱えていることでしょう。
この記事では、墓石の主なデザインと選ぶ際の注意点を詳しく紹介します。
目次
<お墓のデザインの種類と特徴>
お墓は、見た目や形状によって印象が大きく変わります。
ここでは、和型墓石、洋型墓石、デザイン墓石という3つの主要なデザインについて、それぞれの特徴と留意点を詳しく解説します。
-和型墓石
和型墓石は、日本の伝統と格式を重んじ、先祖を敬う文化が息づいています。
縦長でシンプルな形状が特徴で、「○○家之墓」「先祖代々之墓」のように家名が入れられるのが一般的です。
また、五輪塔と呼ばれる和型墓石もあり、形状は自然界の五大要素を象徴しています。宇宙や生命、自然との調和を表し、故人が自然と一体となり永遠の安らぎを得ることを願います。
和型墓石の場合、彫刻するフォントや文字の内容に制限がある、高さがあるため背の低い人は洗うのが大変といったことが注意点です。
-洋型墓石
洋型墓石は、その名の通り西洋風のデザインが特徴で、シンプルで洗練された形状が多いです。近年では、モダンなデザインが多くの人に支持されています。
洋型墓石は、和型墓石に比べて低くて横長のデザインが多く、墓地全体をスッキリと見せる効果があります。
また、洋型墓石にはいくつかのバリエーションがあり、それぞれ異なる印象があります。洋型墓石を選ぶ際には故人の趣味や価値観を反映でき、個性を出すことができます。
自由度の高さが魅力の洋型墓石ですが、墓地によっては墓石の形状や高さに制限を設けていることもあるため、必ず事前に確認しておきましょう。
-デザイン墓石
デザイン墓石は、個々のニーズや要望に応えるために多くの石材店で提供されています。
オーダーメイドでつくられることが多く、故人の趣味や特技、家族のエピソードなどをデザインに取り入れることが可能です。
デザイン墓石は、かたちや色、素材において多くの選択肢があり、故人を特別なかたちで偲ぶことができます。
ただし、墓地や寺院のルール、地域の風習などに配慮する必要があります。
デザイン墓石を選ぶ際には、これらの点を確認し、故人を偲ぶ最適なかたちを見つけることが大切です。
<和型墓石の主なデザイン>
和型墓石は日本の伝統的な墓石であり、デザインにはバリエーションが多いです。江戸時代中頃から広く普及し、仏舎利塔を起源としています。
一般的な和型の墓石は、三段あるいは四段の構成です。
和型墓石には、家名が入れられるのが一般的であり、宗派によっては「南無阿弥陀仏」「南無妙法蓮華経」などの文字や梵字が入れられることもあります。
「お墓」と聞いて多くの人が思い浮かべる縦長の形状をした墓石の他、特徴的なデザインのお墓もあります。
ここからは、「大名墓」「五輪塔型」「宝篋印塔型」という3つの和型墓石について解説します。
-大名墓
大名墓(だいみょうばか)は、その名の通り大名や家族が埋葬される墓を指します。
多くは大名が治めていた地域に建てられ、デザインや構造は時代の技術や芸術が反映され、大名の権力や富を象徴するものでした。
竿石に石造りの笠が被せてあるのが特徴で、豪華な装飾に存在感があります。
-五輪塔型
五輪塔(ごりんのとう)は、その名の通り5つの部分から成り立っており、それぞれが「地・水・火・風・空」の五大元素を象徴していることが特徴です。
五輪塔は、故人の霊を自然に還すという意味が込められています。
五輪塔は形状やデザインが非常に洗練されており、上から宝珠形・半月形・三角形・球形・方形という5種類のかたちの石で構成されています。
現在は供養塔として用いられることが多いですが、一般的なお墓のように建てることも可能です。
-宝篋印塔型
宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、その名前が示す通り、仏教の経典「宝篋印陀羅尼経」を納めるための塔であり、一般的には供養塔や一族のお墓として建てられることが多いです。
上から「相輪(そうりん)」「笠」「塔身(とうしん)」「基礎」という4つの部位で成り立っています。
細長い形の屋根の上部に宝珠型の石が置かれ、笠部分が王冠のようなかたちをした特徴的なデザインです。
<洋型墓石の主なデザイン>
洋型墓石は、横に長く高さは低めで、すっきりしたデザインが特徴的な墓石です。
外国映画などでよく見かける墓石のスタイルでシンプルで洗練された印象があり、デザイン性の高さや安定性などの理由から、近年日本でも人気が上昇しています。
ここからは、洋型墓石の主なデザインを紹介します。
-プレート型
プレート型の洋型墓石は、名前などが刻まれたプレートのような板状の墓石が地面に対して平行に設置されるタイプです。
上台や中台を設置することもありますが、芝生に直接設置することもあります。
海外の墓地でも良く見られ、他の墓石に比べて使用する石材の量が少ないことも特徴です。
特に土地の限られた都市部の霊園や、モダンで洗練されたデザインを求める家族に選ばれることが多いです。
プレート型は、石材の選び方や彫刻の技術によって、さまざまな表情を持つことができます。例えば、高級感を出すためには艶のある石材を選ぶと良いでしょう。
また、文字の彫刻技術も重要で、深く彫ることで長持ちさせることができます。
-オルガン型
オルガン型の洋型墓石は、その名の通り、オルガンのような形状をしています。デザインは伝統的な和型墓石とは異なり、洋風のエレガンスとモダンさを併せ持っています。
オルガン型の特徴は斜めにカットされた前面にあり、彫刻された名前や日付が見やすくなっています。
斜面は日光の角度や時間帯で異なる影をつくり、四季折々の表情を楽しむことができます。
石材の選び方や仕上げによって、オルガン型の墓石も多様なデザインが可能です。
-ウォール型
ウォール型の洋型墓石は日本風にアレンジした縦長の形状が特徴的で、都市部の狭いスペースでも十分に存在感を放つデザインです。
この形状は、狭いスペースを効率的に利用するためのものであり、都市部の墓地の限られたスペースに適しています。
彫刻などを施せるスペースが限られるため自由度は下がりますが、使用する墓石の量が少なく一般的なお墓と比べて安価となるケースも多いです。
<デザイン墓石の人気デザイン>
デザイン墓石は、個性や故人への思いを表現する手段として多くの人に選ばれています。ここでは、現代の墓石デザインの中で特に人気のあるものをいくつか紹介します。
-ガラス墓石
ガラス墓石は「光り墓」とも呼ばれ、透明感とモダンなデザインが特徴で、特に女性に人気があります。
強化ガラスを使用することで光を取り入れ、墓石自体が光り輝く美しいデザインが実現します。
墓石に使用する高品質なガラスは御影石(一般的に墓石に使用される石)と同等の強度があり、水分を吸収しないため経年劣化しにくいことが特徴です。
また、ガラスには色を付けることも可能で、故人が好きだった色や家族の色を表現できます。ガラス墓石は、美しさから近年非常に注目を集めています。
ガラスの持つ繊細さと強さが、故人への深い愛情を表現し、訪れるたびに美しさに癒されることでしょう。
-オリジナルデザインの彫刻をあしらった墓石
オリジナルデザインの彫刻をあしらった墓石は、故人の趣味や人生を反映させることができるため、個性を大切にしたい方々に選ばれています。
故人が好きだった花や動物、趣味のアイテムなどをモチーフにした彫刻を墓石に施すことで、故人の生きざまをかたちに残すことができます。
デザイン次第で故人との思い出をかたちにし、訪れるたびに懐かしい思いを馳せることができる特別なものといえるでしょう。
-ユニークなかたちをした墓石
ユニークなかたちをした墓石も多くの人に選ばれています。
ヨーロッパでよく見られる墓石のかたちを日本風にアレンジしたものや、現代の墓石のかたちとしてスペースを活用したデザインなどが代表例です。
都市部の霊園では、スペースを有効活用しデザイン性を重視した墓石が増えています。
ユニークな形状の墓石は、故人の個性や家族の思いをかたちにする素敵な手段となります。
また、設計段階で家族みんなの意見を取り入れることで、故人を偲ぶ場所がさらに特別なものとなります。
<墓石を選ぶ際の注意点>
墓石は故人を偲ぶ大切な場所をかたちにするものであるため、選ぶ際には多くの要因を考慮する必要があります。
デザイン、予算、材質、石材店の選び方など、多くのポイントが存在します。
-墓石のデザインにこだわりすぎない
墓石のデザイン選びは、故人の人生を表現する大切なプロセスです。多くの人が個性的でユニークなデザインを選びたいと考えるでしょう。
しかし、デザインにこだわりすぎると美しさが持続しない可能性があります。
複雑なデザインや特殊な材料は、掃除に手間がかかったり、一般的な形状に比べて強度や安定性が低下してしまうかもしれません。
また、特別なケアやメンテナンスが必要になる可能性もあります。長期的な視点で見ると、墓地の管理を難しく、コストも増加させる可能性があります。
したがって、デザインを選ぶ際は美しさと実用性のバランスを考慮し、家族全員で意見を出し合いながら決定することが重要です。
-予算をみながらデザインを決める
墓石を選ぶ際、予算は重要な要素となります。デザインによっては費用が大きく変動し、特にカスタムデザインや高品質な材料を選ぶと、コストが高くなることがあります。
初めにしっかりと予算を設定し、予算を基にデザインの選定を行うことが大切です。
また、石材店とのコミュニケーションも重要で、予算内でどのようなデザインや材料が選べるのか、オプションや追加料金についても明確に理解しておくこと必要があります。
これにより、後々のトラブルを防ぎスムーズな墓石づくりを進めることができます。
-親身な対応と明確な情報開示のある石材店を選ぶ
石材店の選び方も墓石選びにおいては大きなポイントです。親身な対応と明確な情報開示がある石材店を選ぶことで、安心してお墓づくりを進めることができます。
石材店がしっかりとした説明やアドバイスをしてくれるか、またコミュニケーションがスムーズにとれるかなどがポイントです。
過去の実績や口コミを確認し、他のお客様のフィードバックも参考にすると良いでしょう。信頼できる石材店は、お客様の要望を丁寧に聞き、適切な提案をしてくれます。
<まとめ>
墓石選びは、故人への愛と敬意をかたちにする大切なプロセスです。
御影石を使ったお墓の他にも、近年は耐久性に優れた強化ガラスを使用した「光り墓」も人気を集めています。
和型、洋型、デザイン墓石と多種多様な選択肢から、故人の人生や個性を最も表現できるものを選ぶことが大切です。
また、墓石のデザインだけでなく、その後の掃除やメンテナンスのことも考えて選ぶと、大切な故人のお墓をきれいな状態に保ちやすくなります。
株式会社佐藤石材工業は、お客様の想いを大切にし、一つ一つの墓石に心を込めています。
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